看護師が亡くなった患者のために死後のケアとして行うエンゼルケアには、重要な意義があります。特に重要な意義が、エンゼルケアをすることにより、亡くなった患者の尊厳を守ることができることです。
生きているときだけでなく、亡くなった後も、患者の体をしっかりときれいな状態に保ってケアをすることで、患者も安らかに永眠することができます。

看護師がエンゼルケアを行うことには、患者の遺族に配慮するという目的もあります。
遺族にとっては、亡くなった後も患者の体は非常に大切なものなのです。そのため、遺体を遺族に見せることができるよう、事前に体をきれいな状態に整えることは、非常に重要なことです。
患者の遺体が清潔な状態に保たれていることで、患者の遺族も、病院でしっかりとケアしてもらっていたと確認することができます。遺族を安心させるという意味でも、エンゼルケアは欠かせない行為です。

エンゼルケアには、遺体の劣化の進行を防ぐという重要な目的もあります。
人間の体は亡くなってから1時間ほどで少しずつ死後硬直が進行していきますが、それに伴い体の中の水分の量も減少していきます。体が乾燥していくにつれて、生きていたころとは外見が大きく異なった状態になってしまうので、できるだけ長い間生きている状態に近い状態で遺体を保存するためにも、エンゼルケアは必要になります。
体の外部をケアするだけでなく、口腔の中などもしっかりとケアすることで、より質の高いエンゼルケアが可能になります。